【法務局に聞いてみた】売却前のマンション、住所変更登記は「スマート変更登記」で解決できる?
取引のお客様からのご相談📞
マンションの売却が決まり、今年の秋にお引き渡しをすることになりました。
お客様は随分前にマンションから戸建てへお住み替えをされていますが、売却するマンションの登記簿上の住所は当時のまま。不動産を売却して新しい所有者(買主様)へ引き渡すには、現在のお住まいへの「住所変更登記」が必須です。
そこで「令和8年4月1日から義務化された『スマート変更登記』を使えば手軽に対応できないか?」というご相談をいただきました。
スマート変更登記(所有者等検索用情報の申出)とは?
あらかじめ法務局へ申出をしておけば、引越し等で住所が変わった際も、法務局が定期的に住民基本台帳を照会し、職権で登記を書き換えてくれるサービスです。
- 将来の過料(5万円以下)リスクを回避できる
- 引っ越しのたびに自分で申請しなくても自動更新
- 登録免許税(1筆につき1,000円)が無料
一見すると「事前の手続きさえ済ませれば、今後の住所変更が放置で済む非常に便利な制度」に思えます。
法務局へ問い合わせて判明した「現実の壁」
「今回の急ぎの売却手続にスマート変更登記は使えるのか?」を確かめるため、管轄の法務局窓口へ問い合わせてみました。
結論からお伝えすると、今回の売却取引にはスマート変更登記は使えません。
制度上、法務局が定期的な住基照会(2年に1回程度)を行って職権で登記を書き換えるまでには、どうしてもタイムラグが生じます。
売却や住宅ローンの借り換えなど「今すぐ変更登記が必要」という場面では、結局ご自身で通常通り申請せざるを得ないとのことでした。
また、国はWebで簡単とアピールしていますが、事前の申出や電子申請にはマイナンバーカードによる電子署名など一定の手間がかかります。
制度の限界と実効性の課題
プライバシー保護の観点から、法務局が本人の同意なく勝手に住民票を検索することはできません。そのため「事前の同意(申出)」というワンクッションが必要になります。しかし、「当面売却する予定もないのに、わざわざ事前に申し出る人がどれほどいるか」という動機の薄さは、今後の大きな課題と感じます。
今回のアドバイスと結論
以上の理由から、今回はお客様に住民票をご用意いただき、管轄法務局の窓口にて通常の住所変更登記を行っていただくようアドバイスいたしました。
マンション(区分所有建物)の場合、登録免許税は土地(敷地権)1筆につき1,000円+建物1筆につき1,000円の計2,000円程度(※土地の筆数により変動)となります。
国が掲げる「かんたん」と実務の「即時性」にはまだギャップがあるのが現状です。急ぎの不動産取引では、従来通りの申請が確実で一番の近道となります。
不動産の売却や住み替えに伴う登記手続でお悩みの方は、ぜひお気軽にありすと不動産へご相談ください。

